少しはじめてみる

50代サラリーマンの読んだ本や購入したものの感想などを書いていきます

「経済で読み解く日本史 明治時代」を読みました。

この本は、「経済で読み解く日本史」のシリーズの中の一冊です。ずっと昔にシリーズ全巻を購入してなんとなく読んだのですが、今年に入りまた古い時代から読み直しています。「室町・戦国時代」「安土・桃山時代」「江戸時代」ときてこの「明治時代」となります。

本の最初のところでも書かれているのですが、一連のシリーズを通してのポイントは2つあり、一つは、お金の量が、景気に大きく影響していること、そしてもう一つは、「景気が悪くんると人々はヤケを起こして、普段は見向きもされない危険な思想に縋る」ということで、この2つの観点で、歴史が語られています。そして面白いほどに説明できていると思います。

「室町・戦国時代」はお金は、外国から輸入して供給されるもので、その量により影響を受けているのが特徴的でした。「安土・桃山時代」では寺社勢力が強くその力を削ぐのが大変であったり、経済活動の工夫が面白く、「江戸時代」では貨幣に含まれる金の割合を変える、つまり貨幣量が変わることが景気へ大きく影響していることが印象的でした。

前の時代に対してこの本で書かれている「明治時代」では、武士階級の力を削ぐことから始まり、後半の日清戦争日露戦争では、戦費を得るために外貨建ての債券の発行が一つの鍵として描かれていて、戦況が良くなったり悪くなったりするのが、債券価格にダイレクトに影響するのが面白く書かれていました。またこの時代の特徴として、金本位制があり、それを行うことが一流の国の証明となっていてやめられないけど危うい感じが書かれていました。

今の日本では外貨建て債券は聞いたことがないのですが、この頃は先進国の通貨建で債券を発行してなんというか今とは異なる危うい橋を渡っていたのだというのが新鮮に感じます。

高橋是清大久保利通小村寿太郎西郷隆盛松方正義などの良い意味、悪い意味両方の活躍が印象に残り、今までどうも明治時代は分かりにくいと思っていたのが、少し分かった気になりました。

次は、「大正・昭和時代」です。世界大戦や高度成長など山あり谷ありとぼんやりとした知識ですが、楽しみです。