少しはじめてみる

50代サラリーマンの読んだ本や購入したものの感想などを書いていきます

「ルポ誰が国語力を殺すのか」を読みました

著者の石井光太氏をamazonで検索すると、他にも貧困に関する著作などの重いテーマの著作がヒットしてきます。

最初は、結構軽い気持ちで、ネット上で勧めらているということで読み始めたのですが、何か読むのが辛くなるぐらいの重い内容がある一方で、目頭が熱くなるような感動を感じるところがあったりと感情のアップダウンを強いられる本でした。そこそこ本は読んでいるのですが、ここまで目頭が熱くなるような本は久しぶりです。

この本では国語力としてますが、過去に新井紀子氏の「AI VS. 教科書の読めない子どもたち」を読んで、読解力のない子どもが思っている以上に多いという内容に対して衝撃を受けたのですが、なんというか本の中ではどちらかというと統計上の数値を元にして話が進んでいくので、理屈で理解するというものでした。

一方でこの本では、教育関係者へのアンケートは軽く出てくるのですが、メインは現場の関係者へのインタビューで、危機感というか問題意識が臨場感を伴って伝わってきました。

この本ではまた、国語力が他者とのコミュニケーションにいかに大切かが繰り返し述べられています。自分の気持ちを表す言葉が少ないことで、自分の気持ちをより細かなグラデーションを持って表現できなかったり、相手の言葉を正確に聞き取れなかったり、その意図するところが理解できないことで、喧嘩になってしまったりと問題につながりやすいというのは理解できました。

また、後半では、こうした国語力の強化を行なっている私立中学の話があります。なんというかその差に驚くとともに、鍛えられた国語力の力を示すような例として中学生の書いた文章の素晴らしさに、読んで思わず目がうるっとするようなところもありました。

一冊読み終わり、極端な例を出しているとは思いつつも、つくづく教育格差、家庭格差の凄まじさが分かりました。

自分は50代ですが、この歳になって恥ずかしながら国語力の不足を感じています。こうしてブログを書いたり、読書をしたりしつつわずかずつでも向上を目指したいと思います。