少しはじめてみる

50代サラリーマンの読んだ本や購入したものの感想などを書いていきます

「植物のかしこい生き方」を読みました。

著者の田中修氏は、植物生理学が専門の客員教授です。
植物の興味深い性質を紹介する本はこれまでにも読んできていますが、この本の特徴は植物の生存戦略を擬人化して表しているところです。それぞれの生物が持つ特徴は、積極的に獲得して生き抜いたというよりは、結果として持つことになってそれが生き抜くのに有効であったというのがより近いのではと思います。
ただ、実際に生き抜いているところを見ると、応援したくなるというか、胸を打たれるというか感動します。著者も植物に対して研究対象を超えた想いが強い人なのではと想像しました。
あとがきで、この本は編集者からのリクエストによるものであったと書かれていて、本の構成などまで編集者の方でまとめて持ち込まれたとあります。著者の人となりを編集者が分かった上で依頼したのだと想像しました。
淡々と植物の特徴を科学的に説明している本に比べて、読みやすかったのと、読後に本の内容がいつもより残ったように思います。
本の内容ではこれまで聞いたことのなかった植物の特徴もありました。例えばハエトリソウがハエを捕まえるのは、栄養のない土地で昆虫から窒素を補給するためとか、寒い時期に咲く福寿草の花は太陽の光を受けて花びらを暖かくすることで、虫を誘うなどです。
最近読書をしていて思うのは、もっと若い頃には、尖った考えや、世の中に対して斜めから見たり、新しい切り口であったりした本が面白いと感じていました。一方で、最近は著者の生き様が興味深かったり、著者のそれまで培ってきた経験からの考えをまとめたものであったり、熱い想いが感じられる本が読んでいて面白いと感じるように変わってきました。