少しはじめてみる

50代サラリーマンの読んだ本や購入したものの感想などを書いていきます

「面白くて眠れなくなる進化論 長谷川英祐著」を読みました

著者は、現役バリバリの研究者のようです。この本では、生物の進化について、メンデルやダーウィンといった進化や遺伝に関する過去の歴史から、今の進化に関する議論になっていること、そして今の進化に関しての研究についてなどがまとめられています。

生物の性質や特徴が変わることについて、メンデルの法則のようにタネの見た目のように変化・違いが確認できることで判断するものや、生物の中のゲノムの中のDNA配列の塩基が1つ変わるレベルで見るものなどなんというか進化をどう考えるかについて、研究者ごとに解釈の仕方が違っているようです。

本の中で印象的だったのは、進化というのはより優れたものに変わることではなくて、今の状況にランダムに合わせているということ、変わっていく環境に対してとにかく適応していくこととしていることです。進化というと、単細胞生物から多細胞生物になって行ったり、魚類から両生類、哺乳類へと変わっていくことということで、より複雑な構造を持つようになることを進化と考えていたように思います。

後、進化論を考えるのに、短期的・長期的な観点で考えると違った適応になるということが、より新しい進化の考え方のようです。短期的にはより効率的になったり圧倒的な力を持つことが有利なのですが、捕食する相手が絶滅してしまうまで自身の能力が上がってしまうと食べるものがなくなって自分たちも絶滅してしまったり、アリの例でサボっているアリがいることで、働き者のアリが疲れて動けなくなると代わりに働き始めることでアリの巣全体はよりうまく回っていたりと、極端な適応はあまり良くない結果になると考察しているのが興味深いです。

その他にも、オスとメスがいる有性生殖と、メスだけで子孫が増やせる無性生殖の比較について無性生殖の方が全員子孫を残せる優位性があるという話など、進化論についてこうしてまとめられた本を読むことで、ところどころ知っていた知識が繋がったところが良かったです。